オランダの福祉産業職員の年金基金であり同国最大級の公的年金基金・Pensioenfonds Zorg en Welzijn(PFZW)は、2012年の私募不動産ファンド投資からのリターンが14.7%に達したと発表。PFZWは1290億ユーロの基金を運用しており、うち不動産へは私募ファンドへの投資を通じて150億ユーロ(基金の資産の約8.6%)を投資している。
PFZWは88を超える不動産私募ファンドに投資しており、 AREA property partnersやAXAなどが運用するグローバルファンドが含まれている。以上の数字から、PFZWが投資する88超の不動産私募ファンド一件あたりの平均アセットアロケーションは全資産の約0.1%を充てていると言える。
同じくオランダの大型年金基金であるABPの2012年の不動産投資からのリターンは16.2%を記録している。
しかしながら、こういった不動産投資などからの高い収益にもかかわらず、高齢化と拡大する基金全体の支出は依然収入を上回っている。今後、オランダだけでなく欧州先進国の年金基金からは、不動産をはじめとするオルタナティブ資産への投資をさらに拡大する傾向が続くと見られる。
(当記事は弊社が提携する機関投資家向けメディアPEREの記事を編集したものです)
私募不動産ファンド投資持分の2次売買市場(セカンダリー)投資運用会社のLandmarkは、 2012年の不動産ファンド持分のセカンダリー市場全体の取引が確認できる限りでも26億米ドル(約2500億円)と前年の2011年の推定22億米ドルから20%以上増えた発表。
通常、セカンダリーの取引は、売手や買手の事情から公にされないケースがほとんどのため、確認されている取引は氷山の一角と見られる。
センカンダリー市場の売手にはリーマンショックや金融危機により価値が下がりながらも非流動性の制約があった私募不動産ファンド持ち分をセカンダリー市場で売却する事によって、手元に現金を戻し新たな投資ポジションを取れるといった動機がある。
買手にとっては、不動産という実物資産に担保された投資持分を、市場サイクルの中で有利な時期に、適正価格で取得できるというメリットがある。
Landmarkによると、2011-2012年の主な売手である銀行、年金基金、保険会社などの背景として、銀行や金融機関などは規制当局からの要求によるバランスシートのスリム化といった要因があり、年金基金や保険会社などにはアセットアロケーションの再調整という動機が見られる。
その中でも2011年と2012年の売買傾向には変化が見られ、
2011年は売買の41%が米国、32%がアジア、25%がヨーロッパの不動産ファンド持分といった構成であったが、
2012年は売買の37%が米国、40%がヨーロッパ、18%がアジア、5%がグローバル不動産ファンド持分といった構成となり、
欧州危機の影響からヨーロッパの投資ファンド持ち分の2次市場での流動化が進んだことが見られる。
Landmarkは、今後の世界経済の変動に伴い、過去のリーマンショックや金融危機以前に投資して損失をかかえた投資ポジションから、より最近の経済情勢に則した投資戦略に切り替えるため、投資家からはそういった新しい戦略に転換できる自由な資金を求めセカンダリー市場での売買の動きが益々加速すると思われるとしている。
運用会社大手のPartners GroupもLandmarkと同様のレポートを発表しており、3年前に比べ年金基金や信託財団といった長期運用基金のセカンダリー市場での売買がより活発化しているとしている。
(当記事は弊社が提携する機関投資家向けメディアPEREの記事を編集したものです)
*不動産ファンド投資の持分の2次売買(セカンダリー取引・市場)に関しては、下記リンクから弊社ウェブサイトの解説ページをご覧下さい。
『投資ファンド持ち分の流動化・2次売買』
https://japanplacementagent.com/blog/alternative-investments/secondaries/