インフラストラクチャーファンドの種類
世界的に経済が低迷する中、長期的に安定した需要成長が期待でき、かつInflation Sensitive Asset (インフレ感応型資産) として注目の集まるインフラストラクチャー投資。 一般的にインフラストラクチャーファンドは、高速道路や空港といったインフラ施設(不動産)そのものではなく、そういった施設を保有・開発・運営するインフラストラクチャー関連企業の株式へ投資する形態になっています。 代表的なセクターとしては、空港、港湾、高速道路、鉄道、輸送フェリー、上下水道、汚水処理、通信、発電所、パイプライン、再生可能エネルギー、ガスプラント、PFI/PPP、、、といったものが挙げられます。 一般的な投資形態としては、上プライベートファンド型と上場型に分類されます。

・プライベートファンド(私募)型 : 
特定の機関投資家向けの私募ファンド。機関投資家向けで投資期間は8-10年と流動性は上場型よりも低いが、非上場ファンドとして長期的に投資対象の経営改善・効率化が行えるため、安定したインカムリターンに加えキャピタルリターンも見込め期待リターンは高い。期待リターンをIRR12-15%に設定しているケースが見受けられる。機関投資家向けのため、ファンドへの最低投資額は500万ドル~2500万ドル(約4億円~約20億円)など。グローバルな政府系投資会社や年金基金からのニーズが強く、巨大プレーヤーが多い。投資対象地域は流動性や投資適格性の高いヨーロッパや米国の企業が多く含まれる。

・上場型 :
 
証券取引所に上場されているため、REITと同じく高い流動性を有している。運用会社は欧米の金融機関系が主。投資対象地域はエマージング市場が主で、グローバルエマージングマーケットやインド、アジアといった地域カテゴリーに特化しているケースが多い。 主な上場型ファンドの投資している代表的な投資対象会社としては、チャイナモバイル(中国)、リライアンス・インダストリアル(インド)、シドニー空港(豪)、長江インフラストラクチャー(香港)など。どちらの形態も、インフラストラクチャー施設そのものではなく、インフラ施設を保有・開発・運営するインフラストラクチャー関連企業の株式へ投資する点では同じ。ライベートファンド型の場合、企業へ投資するという点ではプライベート・エクイティ投資の延長といえるが、投資家からの要望から主に長期で安定した固定キャッシュフローが創出される点に主眼を置いているファンドが多い。

 

 

 

 

インフラストラクチャーファンドの種類

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アセットクラスの特徴

安定した需要が見込めながらも、有形資産(施設としての不動産など)を有しており尚且つ投資先市場の経済全体との相関関係が高いことから、インフレリスクに強い或いはインフレを享受できる資産としての位置づけが強い。このような特徴から、経済成長著しいインドをはじめとした東南アジア関連のインフラストラクチャーファンドへも欧米の投資家からは注目が集まっている。

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インフラストラクチャーファンド関連の投資事例

インフラストラクチャーファンド関連では以下のような投資事例が挙げられる
プライベートファンド(私募)型ファンドの投資事例:
・私募ファンドによる英・ロンドンヒースロー空港、英・ブリストル空港、ベルギー・ブリュッセル空港への出資および取得。
・私募ファンドによるヨーロッパ最大級のバラ積み船港湾事業会社Europortsへの出資。
・私募ファンドによる8,900 kmの敷設パイプラインを持つ原油パイプライン会社の米Colonial Pipelineへの出資、テキサス州ガスパイプライン会社Regency Intrastate Gas Systemへの出資。

上場型ファンドの投資先企業の投資事例:
・リライアンス・インダストリーズ(インド) は10億ドル(約800億円)を投じて航空機輸送事業を開始する。また同じく10億ドル相当を費やしサムソンから4G通信サービス基盤を取得、インド国内での唯一の4G通信サービスプロバイダーとして運営を開始する。
・長江インフラストラクチャー(香港)がイギリス・水インフラ企業Northumbrian Water Groupを買収。長江インフラストラクチャーは複数の英国のガス、電力、水インフラ企業の買収に関わっている。
※上記の内容等や具体的なファンド等の情報に関しましては弊社までお問い合わせ下さい。

インフラストラクチャーファンド関連の投資事例

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今後の投資需要

今後益々の需要と成長が見込まれるエマージング・マーケット関連のInflation Sensitive Asset(インフレーション感応資産)として、恒久的な存続のための運用持続が可能なリターンを求められる欧米の年金基金や、グローバルマクロと連動したリターンを求める海外SWFからのニーズが急拡大すると見られる。注目の動きとしては、香港や中国、マレーシアなどのアジアの新興国の大手機関投資家・政府系ファンド・年金基金が欧米のインフラストラクチャーへの投資を活発化させているケースが多く見られる。

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<関連NEWS> シンガポール政府投資公社GICがインド関連再生可能エネルギー会社へ投資

シンガポールの政府投資公社GICは、ロンドン証券取引所に上場するインドの再生可能エネルギー会社Greenkoの子会社へ1億英ポンド(約140億円)を出資。

Greenkoはインドにて風力発電や河川からの水力発電事業を手掛けている。

GICはインフラストラクチャー投資の方針として、発電所、変電所、上下水道事業、空港や道路といったインフラストラクチャー会社へ、マイノリティー株主として投資する形をとっている。

 

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<関連NEWS> ブラックロックがスイスのインフラPEファンドを買収

投資運用大手のブラックロックはスイスのプライベートエクイティ・ファンドのSRPEP(Swiss Re Private Equity Partners)を買収、自身のFOFユニットに加える。 SRPEPはインフラストラクチャー投資に強く、親会社のスイス再保険の豊富な資金をバックに運用ファンドには投資家から約75億ドル(約6000億円)の投資資金のコミットメント(投資確約)を有している。世界的に年金基金などの投資家からはリターンと同時に安定性が投資クラスに求められ、長期に渡る安定性が望めるインフラストラクチャー投資に運用会社・投資家の双方から注目が集まっている。ブラックロックのFOFビジネスは今回の買収により、150億ドル(約1兆2000億円)規模の投資資金を運用する事になる。

(弊社グローバル不動産マーケットニュースレター2012年7月号より)

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