中国中央政府の年金基金、全国社会保障基金(National Social Security Fund=NSSF)は、運用資産約8690億元(約1364億ドル=約11兆円)規模と中国最大の年金基金。運用管理はNational Council for Social Security Fund (SSF)が行っている。設立は2000年で、以来中国の社会福祉関連基金の積み立ておよび運用を行っている。
約11兆円を誇る総運用資産の20%は主に欧州や新興国などの海外資産へ割り当てられており、外部の運用マネージャーへ委託して投資を行っている。
従来、国内の債券や株式といった流動性の高い資産への投資が主だったが、近年の景気減速による低調なリターン、急速に進行する高齢化の影響、などから将来的な積み立て不足に対する懸念が高まっておりポートフォリオの見直しが迫られている。
こういった背景から近年、PE(プライベートエクイティ)や不動産などのオルタナティブ投資を積極化させている。
PE投資に関しては、約200億元(約2500億円)で全体の2.3%と投資割合は少ないながらも、2011年度は基金全体のリターンの70%ともいえる割合をPE投資から上げており、全体で+0.8%のリターンと苦戦した2011年度の運用成績の改善への依り所となっている。
運用管理をするSSFは、より一層PE資産へのアロケーションを増やし今年度より50%増の300億元(約3750億円)をPE投資へ充てることを表明している。
不動産関連投資では、中国国内の住宅開発向けローンに約170億元(約2100億円)相当をこの1-2年で投資している。
海外でもグローバルなインフレ感応型資産への投資として、2012年7月にはオーストラリアの不動産投資運用会社通じて海外の複数の市場での不動産資産への投資も決定している
*本記事は弊社ニュースレター『海外年金 & SWFのオルタナティブ投資News』2012年8月8日版のものです。