BK Skyline[2]


不動産は新たな世代のタレント誘致をめぐっての競争の時代へ

America’s got talent and cities are in a building war for it

クスペディア社C.E.O.のマーク・オカーズトーム氏は、ワシントンのベルビューからシアトルのフォーターフロントへの本社移転について、それはまさに、優秀な人材獲得のためのグローバル戦争” を見据えた差し迫った決断だったと語る。

過去の景気循環において、スキルを備えた人材は、さらなるビジネスチャンスの追及を目指し、自身の生活拠点を積極的に変えてきたわけだが、米国の人口移動が記録的に低迷する昨今、その状況は変化している。優秀な人材が住みたいと思うような、すなわち、将来への投資が行われる活気溢れる街、そして不動産需要の連鎖反応を創成するような地域へと、企業は移転を始めている。

大型の都市中心部は テック系人材や関連企業を今も惹きつけ、ボストンなどの都市で見られるように街の中における都市コミュニティを再活性し、ニューヨークやサンフランシスコは長期にわたり投資家にとって有望な都市となっている。一方、シアトル、オークランド、デンバー、ローリー、ダラム、オースティンといった将来有望な成長都市においても、スキルの高い人材を生み出し、そのような人材を雇用するための理想的な条件や文化を付与する投資を行っており、企業や不動産投資家はこの点に注目をしている。

需要のある人材を求め、企業は移転する – Companies Migrating to Meet the Needs of In-Demand Talent

人口動態や過去の労働傾向の変化は、明らかにこのようなトレンドに影響を受けてきた。大学から台頭してきたミレニアル世代は、理想的なライフスタイル環境や専門性の高い労働機会に恵まれた最適なコミュニティーを追及しており、その多くは、大学の門のすぐ外のロケーションに存在する。

ベントール・ケネディ社のリサーチ「米国不動産市場 2018年の展望」によれば、より多くの企業は アクセス環境の良い都市部へと移転する傾向が以前よりも増えており、これは、より優秀な人材を求める企業がその人材がいる場所へ移動しなければならないということを示唆している。郊外から大都市圏の生活・仕事・遊びが揃ったロケーションへと企業が移転するのは、その顕著なトレンドの1つであり、この動向は明らかに他の市場へと拡大している。 

ベントール・ケネディ社(米国)チーフ・インベストメント・オフィサーのエイミー・プライス氏によれば、これは単なるライフスタイルや特定の都市といった範囲に限らず、20代から30代の労働者は、仕事上における成功機会が多いロケーションを望んでおり、革新的な企業や産業はこの傾向に追従し、そのような人材を惹きつける環境構築のために、相当な資源を費やしている。

現在、若い優秀な人材の雇用選択は、給与明細以上のものが基準となり、彼らが働き、生活し、遊ぶ建物が、どれほど世界的な多様性に富み、テクノロジー面でも充足したスタイルかどうかに重きを置いたキャリアと経験を望んでているとプライス氏は述べている。

より高い利回りを求める不動産投資家は早速この傾向に対応し、地域社会の再編に活発で、優秀な人材獲得を争う環境を構築できる市場を特定し絞り込みを行っている。

新たなアイデンティティが台頭する大小の市場 – Big and Small Markets Emerging With New Identities

ベントール・ケネディ社のレポートでは、ボストン、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコ、ロスアンゼルス、ワシントンD.C.への投資は、全体的な動きとしては落ち着きを見せているものの、これらの市場における2017年の1月~10月までの取引量は未だ米国全体の40%以上となっている。米国の大型市場が世界の投資家を惹きつけようとする一方、優秀な人材、企業、住宅、文化的複合施設を擁する小都市の小規模ロケーションでの不動産投資と不動産開発は、投資家の好奇心をかき立て、潜在的な機会を示唆している。

先見の明があるアメリカの都市がこのような変化に気づかない訳はない。重工業への依存度の高い都市から、ロボット工学や人工知能(AI)の先駆者へと変貌を遂げるピッツバーグは、世界中からその注目を集めており、ここ数年で新テクノロジーで強化された経済を推進しようという態勢になりつつある。

プライス氏はさらに、”過去10年間に渡るピッツバーグの新規雇用の80%は教育、熟練職、科学技術サービス分野で、比較的手頃で、活性化が可能なインフラがある。ピッツバーグは次のニューヨークに成り得るでしょうか?それは無理でしょう。しかし、今後5年間で別の都市へと変貌するということは間違いありません”と述べている。

101GWST[2]

ローワー・マンハッタンで再開発され最新オフィスビルへと変貌した101 グリニッチは、急速に周辺開発が行われた中心部に位置し、テクノロジー系スタートアップ企業や人材を惹きつけている(出所:ベントール・ケネディ社)

空間と場所の重要性 – The Importance of Space and Place

漸進的ともいえる米国における都市の進化は、都市部周辺の再開発や歴史的建造物の再利用化を振興している。投資家や企業は、従業員の性格やそのブランド力で共感を集めることのできる、仕事と生活の地域や近隣の空間を見出そうとしている。オフィステナントにとって新しくコストが低い代替えロケーション、例えばボストンで成長が著しいシーポート地区といったロケーションは、企業の移転や、従業員と顧客双方の視点から見たブランドイメージの再確認を行う機会を提供する。革新的な地域として周知されたロケーションへの移転することが、いかに最善の選択であることを明示する。

NAIOP (National Association of Industrial and Office Properties)の権威あるフェロー、マーク・スタップは、空間と場所は今まで以上に重要なものとなっていると言う。これは、理想的なロケーションにおけるインテリアデザイン、審美性、快適さの全てを包括し、公共輸送サービス、自転車専用道路、レストラン、カフェ、ジム、その他の施設にも隣接する、全てが一つの環境において、ステレオタイプではなく個性を持ち併せているものだ。

ビルオーナーが、賃貸交渉の場でテナント企業の人事部の担当者と面談するようになったのは、今から3-4年前ほど前から始まった傾向と言える。そしてこれは今では至極一般的となった。これは、企業が従業員確保のために競うようになるきっかけとなった。そして、楽しい場所や、理想的な雇用機会の創出をもたらす錬金術ともなっているとスタップ氏は述べている。

優秀な人材獲得合戦は激しさを増すにつれ、アメリカの革新的な都市の未来像は 明日への労働活力を刺激する文化的中心地になる必要性に迫られるだろう。これらの期待がかかる米国の都市にとって、不動産投資は重要な触媒となる。

原文記事:https://partners.wsj.com/bentall-kennedy/shifting-skylines-building-americas-next-great-talent-centres/
文章:ヴァ―ワン・ヒンメル・シュバック
写真:ポール・モルガン
翻訳:アスタリスク

 

当記事の原文(英語)はウォール・ストリート・ジャーナル・カスタム・スタジオによって作成されたものです。ウォール・ストリート・ジャーナル・カスタム・スタジオはウォール・ストリート・ジャーナルの広告部門です。

 

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関連レポート

2018年 米国不動産市場の見通し / Bentall Kennedy – Perspective 2018 US当レポートは以下のリンクよりダウンロードいただけます。
https://japanplacementagent.com/wp-content/uploads/2018/03/BentallKennedy_Perspective2018-US.pdf
ESG不動産投資 北米の事例と最前線 当レポートは以下のリンクよりダウンロードいただけます。
https://japanplacementagent.com/wp-content/uploads/2018/01/ESG-Real-Estate-Casestudy_North-America_Asterisk_2018-January.pdf
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*月刊プロパティマネジメント誌の201712月号にてベントール・ケネディ社の「ESG不動産投資」について、20183月号にて「都市化 = Urbanization」をテーマとした不動産投資についての取り組みに関する記事が掲載されております。

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